• テキストサイズ

~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第4章 【第三章】捕らえられた夜


「桃井さんは、ここに居てください。」


黒子は、手首に着けているリストバンドに触れ、気合いをいれた。


「…分かった。でも、テツくん…。」


桃井は黒子を見て、心配で眉を潜めると


「大丈夫です。桃井さん、作戦は先程話した通りです。」

「…うん、分かった。」

「では。」


黒子は桃井に笑い掛け、背を向けた。


『まず、僕は夜のうちに美桜姫を探し出します。そして、姫を救出した後、朝靄に紛れて城を出ましょう。』



黒子は夜の闇に溶けて走り出す。


『各部屋…隠し部屋…地下牢……』


城内の部屋と言う部屋を、隠し通路から回るが美桜姫の痕跡を見つけられない。

そして、ある部屋に入り、隠し部屋へのスイッチを押そうとした壁に目を見張った。

壁に無数の傷がある。

傷がついている壁を手でなぞり、改めて部屋を見渡す。


『…何か…?』


壁の傷以外その部屋は普通だった。
だから余計に、不自然な傷が違和感を感じさせた。

黒子は部屋の中を隈無く調べてみるが、壁の傷以外何も出てこない。
一息ついて、改めて部屋に飾られた絵の額縁
を触る。
宝石を押すと、暖炉の壁が開き通路が出てきた。


通路を通り階段を登りきると、隠し部屋に出た。


『懐かしいな…』


この隠し部屋だけは、黒子は覚えていた。
黒子と美桜姫が小さかった頃、2人でよく遊んだ秘密の部屋。

その部屋にも勿論美桜姫はいないので踵をかえすが、ふと、感じる違和感にまた部屋を見る。

何か記憶にある部屋の感じと違うのだ。

黒子は、ゆっくりと部屋に置いてある荷物に近づく。
すると、小さい紙が置いてあった。



《黒子》



それは自分の名前が達筆に書かれた手紙。


『赤司くん…?』




/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp