第21章 決裂
「_で、何?」
「....あー、あの、もし大会が近いのに、えーっと、あっ、岩泉さんが無茶な攻撃をやるって言い出したら「ちょっと、何か相談したいならヘタクソな例え話やめて直球で来なよ」
あの時の、日向との喧嘩の話かなあ
「今まで、球を見ずに打っていた速攻を日向が自分の意思で打ちたいって言い出しました」
「へー、出来たら凄いじゃん、やれば」
「そんな簡単に言わないで下さい!」
「だから俺の言うの通りにだけ動いてろっての?まるで独裁者だね?お前は考えたの?チビちゃんが欲しいトスに100%応えているか、応える努力をしたのか
勘違いするな、攻撃の主導権を握ってるのはお前じゃなくてチビちゃんだ
それを理解できないならお前は独裁の王様に逆戻りだね」
「......」
「ももこちゃん行こう、猛も行くよ」
飛雄ちゃんに背を向けては歩いていってしまう
『飛雄ちゃん』
「....うす」
難しそうに眉を寄せる飛雄ちゃんににそっと手を伸ばす
届かない為に少し屈んでもらうも
日向と喧嘩した時にできた為か左の頬下辺りの絆創膏が貼ってある
そこをそっと撫でては、じっと見詰める
『信じてるよ、2人のこと』
「....!」
私は見守ること位しか出来ないけど、だけど
『飛雄ちゃんなら、きっと、いや、必ず』
「ももこちゃん!!!いくよ!!!!!」
『はいはーい、じゃあ、またね』
手を振っては慌てて及川の元へ行く、後ろを振り向いては先程より段々と遠くに見える飛雄ちゃんの姿をつい見てしまう
きっと、きっと大丈夫だよ