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あなたの声が聞きたくて【another story】

第10章 岩泉一誕生祭【番外編】















ねぇ、はじめ…起きて、はじめ。


微睡みの中聞こえてくるころころとした心地いい声。


浮上しかけた意識がまた沈みそうになる。


「起きて!」


ぐえっ、とカエルが潰れたような悲鳴を上げて起きれば俺の上に跨って座る優がいた。


「…んだよ、まだねみぃわボゲ」


「今日という1日は短いんだよ?はじめくん。」


「なにいってんの、おまえ…」


目を擦って時計を見ると0時を少し過ぎた頃だった。


「まじか…」


でもこんな時間に起こされたということは何かあったんだろう。


「で、なに」


「あのね、誕生日おめでとう。」


頬に押し当てられる柔らかな感触。


ふふ、と笑う優の両頬を手で挟んでこちらを向かせた。


「キスはそっちじゃねぇだろ。」


「んっ、」


リップ音を響かせ唇を離すと優の目に俺が映る。



これは俺だけの特権。






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