第2章 イチョウ並木
「来年も一緒に見に来ような。」
これは去年の彼の言葉。
私は京治こと
幼馴染みの赤葦京治に恋をしていた。
今そんな彼には彼女が居る。
私とは比べものにならないくらい
綺麗な先輩。
私は今の時期になると
必ず京治と行く所があった。
家から3駅離れた所にあるイチョウ並木。
今年はイチョウ並木を一人で歩く。
¨来年も一緒に見に来ような。¨
去年ここで京治と約束した。
昨日の事のように覚えてる。
……京治のうそつき。
辺り一面黄金色に輝くイチョウ並木は
とても綺麗で私の沈んだ心を癒してくれた。
今度京治に見せてあげよう。
今年も綺麗だったよって。
私はスマホでイチョウ並木を撮影した。
「何で一人で来てるの?俺との約束忘れてたの?」
私のよく知っている声。
振り向くと京治が立っていた。
「……約束忘れた訳じゃない。京治彼女居るから今年は来ないかと思ってた。」
「俺、行かないなんて一言も言ってなかったよね?彼女にこの日理緒と約束してるって言ったら急に怒って振られたよ。」
「はぁ!?京治馬鹿なの?
彼女の約束より幼馴染みの約束取ったら
怒るの当たり前じゃん!」
「…………当たり前…なのかも。
でも俺は理緒の約束のほうが大事。
ほらっ、行こう!」
そう言って京治は優しく私の手を握ってきた。
二人で並んで歩くイチョウ並木。
私は京治の温もりを感じる度
胸が高鳴るのがわかった。
ねぇ、京治。私はまだ
貴方の事を好きでいても構いませんか?