第7章 Happy birthday!! ① 11月8日
明日は日曜日。
夜通しゲームしてやろうと意気込んでいた矢先、部屋のベランダから窓を叩く音がした。
時間は23時55分。
俺の部屋のベランダから入ろうとする奴は
一人しか居ない。
カーテンを開けると隣ん家の理緒が手を振っていた。
理緒とは幼馴染みで同級生。
高3の今でもこうやって自分の部屋から伝って俺の部屋にやって来る。
「夜遅せぇのに何の用だよ?」
「エヘヘ!お邪魔しまーす!」
紙袋を持った理緒は
何も気にせずに俺の部屋に入ってきた。
意識しているのは俺だけなんだろうか。
「ヤスくんテーブル出して!」
彼女の前に折り畳みテーブルを出してやると小さめのホールケーキが置かれた。
「明日誕生日でしょ?一番に祝いたくて来ちゃった!」
「おっ、サンキュー!」
俺は理緒の言葉に嬉しくなった。
「ろうそくに火を付けるからヤスくん電気消して?」
チャッ○マン片手に意気込む理緒。
暗い中で火を扱うのは危ないだろ。
俺は電気を消し
危ないから俺が付けると理緒に寄越せと手を差し出した。
「私も付けたいもん!……じゃあ一緒に付けよ?」
俺は理緒の言葉に頷き彼女の握る手に俺の手を添えた。
「……何か、一緒にろうそくに火を灯すの
結婚式のキャンドルサービスしてるみたいだね。」
「ブハッ、本当お前想像力豊かだよな!」
理緒との結婚式を想像した俺は照れ隠しで言ってやった。
「想像して悪い?……ちょっと嬉しかったんだけどな。」
ポツリと独り言のように言う彼女の言葉に
俺の胸が高鳴る。
期待していいんだろうか。
全てのろうそくに火が灯された時には
0時を過ぎていた。
「ヤスくん、18歳の誕生日おめでとう!」
微かな灯りの中で俺を真っ直ぐ見つめる彼女の瞳がとても綺麗だった。
「理緒ありがとな。……また来年の誕生日も一番に祝ってくれるか?」
「うん!もちろん!ヤスくんも私の誕生日
、一番に祝ってくれる?」
ただの幼馴染みじゃなくなるのはそう遠くはないと思う。
俺は理緒お願いに応えるかの様に
優しく彼女を抱き締めた。