第40章 あなたとワルツを。
休み時間の終わり一一、
三年の教室の廊下まで私はついていく。
「あ、つむぎちゃん!」
及川先輩がいる。
及川先輩が私の隣の岩泉先輩をチラッと見て、何か頷いた。
私と仲直りしたのを感じたらしい。
やっぱり阿吽だね。
「へへっ、良かったね!」
及川先輩が私に走りよってきてぎゅーっと抱き締められた。
「ヤメテクダサイ…」
ここでやられたら私は明日生きてられるか分からない。
及川先輩を引き剥がそうと腕をつっぱる。
けど、ほんとに強く抱き締められて無理。
「ほんと良かった。気が付いたら二人が別れちゃってたなんてやだもん」
ポツリ、と切ない声で云われてドキッとする。
「おいクソ川、いい加減離れろ」
離せないじゃんとか思いながらも腕の中でもがいていた私の腕を引きながら岩泉先輩が及川先輩にアイアンクローをかけた。
「い″だっい″だいっ、岩ちゃんやばい、頭くだけるっ!くだけちゃうっ!」
「くだけろ、お邪魔虫」
「ひどい!幼馴染みの危機を心配してあげただけなのにー」
ヒンヒン馬みたいに泣いてる及川先輩にうふふ、と笑いが漏れる。
「つむぎも笑ってないで助けてー」
「絶対イヤです」
「ひどい!」
「ひどくないだろバカ川」
私達はやっぱり仲良しでこうじゃなくちゃね。
悩んでたってだめだよね!
やっぱりちゃんと云わないと。
もう黙って悩むのはやめます!
まだ騒いでいる二人を尻目に私は自分の教室へ向かった。