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【デュラララ!】究極選択Ior S

第10章 普通の生活



夕日が沈んで空が紫色を帯びてきた頃

玄関の方からドアが開く音がした

ドアを開き、靴を脱ぎ、用意したスリッパを履いてパタパタとこっちに来るという一連の動作をする音…

そしてリビングに姿を表した

「ただいま帰りました」

そう言って椅子に腰掛ける俺に会釈をすると、キッチンにいる波江さんに話しかけた

「いい匂い…私も手伝います」
「もうオーブンに入れてあるし、することは特にないわ」
「グラタンですか、美味しそう…あれ、2つ?」

オーブンを覗き込むと、洗い物を終えて手を拭う波江さんとの会話が淡々と続く

「私は要らないわ、もう帰るから」
「それなのに私たちの分だけ…申し訳ないです…」
「ラブラブなお2人でどうぞ」
「次は私たちと3人で食べましょうよ!」

純粋な笑顔を見せる波江さん

それまで弄っていたナイトの駒を元の位置に戻し、席を立った

「そんな柔らかい声と表情、初めてだよ」
「うるさいわね」

そんなに口調を変えなくてもいいのに、と俺は思った

横でクスクス笑っている

「ねえ、後はやっておくから今日は帰りなよ。
晩飯ありがとう。」
「ええ、調理代は給料に上乗せでお願いね」

帰ろうとして玄関に向かう波江さんに、が緊張を含んだ声で告げる
「あの、ありがとうございます!」


そうしてうちから出て行くと、すぐさまがデスクの後ろにある大きな窓ガラスに張り付いた

数十秒後、下の方に向かって小さく、でも早く、嬉しそうに手を振る

俺がと同じ方向に視線を落とすと、同じように手を振り返す波江さんがいた

子供みたいだけどそれがすごく可愛い

「あんなクールな女性に、よく懐いたね」
「いい人だし美人さんだし、わたし、波江さんとはうまくやっていけそうです」
「よかった」

いい人、というのは認め難いけどな…


「そろそろだと思うよ、グラタン。食べようか」
「そうですね」

は嬉しそうな足取りでオーブンの方に向かった

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