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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第16章 奇跡は起きない




呆然とするテツ君に征十郎が歩み寄り、語り掛ける。


「お前が中学時代、今のスタイルに行きついてから後、僕はパスのバリエーションを増やすことはさせてもシュートやドリブルは身に付けさせなかった。…何故だかわかるかい?」


そう、そうすればいつかはこうなることをわかっていたから。


「それをすればいずれ、お前の特性が失われることがわかっていたからだ。『消えるドライブ』『幻影のシュート』、そんな派手な技を使う選手が目立たないはずがないだろう。なまじ光ることを覚えたばかりに、お前はもはや影にもなれなくなった」



冷たく言い放つ征十郎だが、言っていることは間違っていない。


あの時…中学時代に、私が征十郎ではなく、テツ君本人にこのことをきちんと伝えていれば…。


私は下を俯き、後悔の念を張り巡らせた。


「(テツ君…私……ごめんなさい…)」


「見るに堪えない愚行だよ。唯一最大の長所を自ら手放すとは。『幻の六人目』でなくなったお前では、既に並の選手の価値もない。こうなることに今になるまで気づけなかったなんて、失望したよ、テツヤ」


影の薄さを失ったテツ君は、全くと言っていいほどにマークを外せずにいた。

更には、誠凛側全員が動揺していた。


『誠凛、選手交代です』


征十郎の言ったように、特性のないテツ君はもはや並の選手以下と言える。

当然のように、テツ君は下げられた。

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