第16章 奇跡は起きない

そして、両チームのスタメン…１０人が揃い、コートの真ん中に並んだ。


『それではこれよりＷＣ決勝戦、誠凛高校対洛山高校の試合を始めます、礼！』


「「「よろしくお願いします！！」」」


ジャンプボール。

洛山は永ちゃん、誠凛は通常ならば木吉さんであるところを今回は火神。


「決勝戦試合…開始！！」


審判により高く放たれたボールは火神の手に奪われ、まずは誠凛ボールから。

早速テツ君にまわったパスは、『加速するパス廻』で日向さんへ。

しかし、『廻』を取れる選手というのは限られており、日向さんはこぼしてしまうも、ボールは誠凛のゴールへ。

レイアップを決めようとした日向さんだったが、そのシュートはレオ姉に止められる。

洛山の反撃となり、征十郎のボール運びからパスは永ちゃんに。


「オラァ、もらいだ先制点！」


勢いよくシュートへ行った永ちゃん。

しかし、火神にブロックされる。

そのまま火神は速攻の先頭を走り、跳び上がった。


「えっ…」


私が声を漏らした次の瞬間。

火神は征十郎の上からボールをゴールへ叩き込んだ。

そして…。


「…面白い、ゾーンか」


征十郎が呟いた。

そう、火神は試合開始早々にゾーンに入ったのだ。