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夢と魔法と冒険と

第6章 小夜左文字


「右手、左手、斜めに斜めに、上へ伸ばしてキラキラキラキラ」

「上手にできるようになったわね、小夜。気に入った?」

さきほどのショーで教わった手遊びを繰り返しながら、小夜はコクリと頷いた。次のアトラクションへ向かう道すがら、ずっと繰り返していたおかげかすっかり上達している。誇らしげに披露する小夜の背後に、誉桜の幻影が見えた。

「姉様、次はどんなの?」

「次はね、世界中の子供達と歌を歌おうっていう乗り物だよ」

「……世界中の子供がいるの?」

「そう、いろんな国の子供達が同じ歌を歌っているの」

「同じ、歌……」

どうやら小夜は興味を持ったようだ。審神者は携帯端末でその歌の日本語歌詞を検索し、小夜に見せてみる。

「もともとは英語の歌なんだけど、日本語の歌詞もあるのよ」

世界は広いようで狭いからみんな仲良く暮らそう、という内容の歌詞を、小夜はしげしげと眺めていた。やがて順番が回ってきてボートに乗り込む。係員のいってらっしゃい、という声を合図にゆっくりとボートは進んでいった。


小夜が息を飲む。そこには色とりどりの衣装を着た子供の人形が、同じ歌をそれぞれの国の言葉で歌い踊る姿があった。釘付けになる視線。ボートはゆっくりと進んでいく。進むにつれて小夜が歌に合わせてリズムをとり始めた。丁度日本の人形が現れた辺りで、小さな声で小夜が歌を口ずさむ。いつの間に覚えたのか、先程見せた日本語歌詞で。すると、小夜の歌につられたのか前後の席に座っていた子供達が同じように歌い始めた。やがて歌声の輪は広がり、ボート全体を包む。世界一周の旅が終わる頃、ボートに乗る全員が、同じ歌を歌っていた。

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