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夢と魔法と冒険と

第4章 今剣


船着場は薄緑の屋根を持つ建物の向こうにある。船が着くまでは建物の中で待機することになっているので、審神者と今剣は船について話していた。どうやら今剣は、船そのものには乗ったことがあるらしい。以前の主について戦用の手漕ぎ船に乗った記憶はあるようだ。だからか、大きな船というものが今一つ想像できないでいる。戦用の手漕ぎ船とはまるで違う観光船なのだから当然かもしれないが、三階だての船というのが信じられないでいる。

しばらくして、運河の向こうから船が戻ってきた。

「ほら、つーくんあれが今から乗るお船だよ。綺麗でしょ?」

「うわぁ、おおきいです‼︎」

白いたたずまいが美しいその船は、観光船としては小さいものである。だが初めて見る今剣にとっては十二分に大きな船だった。

「ほんとうにさんかいだてなんですね」

「一番上の階は見晴らしが良くて景色も良く見えるんだよ」

船が接岸し、乗っていた乗客達が降りると、待機列の前にある柵が開いた。待ちかねたように乗船すると、今剣は3階までの階段を上っていく。デッキに出ると持ち前の機動で最先端を確保した。

「つーくん、危ないから身を乗り出したり手すりに上ったりしないでね」

「はーい、わかってまーす」

出発のアナウンスが流れ汽笛が鳴る。何羽かのカモがのんびりと船の横を泳いでいる。緩やかな風が吹き、ゆっくりと船が動き出した。

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