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夢と魔法と冒険と

第3章 御手杵


門限には間に合っているはずだった。なのに何故か本丸の玄関で帰ってきた二人を出迎えたのは己の本体を片手に満面の笑みを浮かべた一期一振であった。ちなみに相変わらず目は少しも笑っていない。

「門限に間に合うように帰ってきたのは褒めて差し上げましょうですが何故二人共酒の匂いをさせているのかご説明いただけますかなまさかとは思いますが酒を飲んできたわけではありませんよね薬研の話では酒を出すような店はないはずですから違いますよねまさか寄り道をしてきたわけではありませんよね」

またしても途中息継ぎをすることもなく一言一句よどみなく言ってみせた一期だが、やはり目は全く笑っていない。ああ、やっぱりこのパターンかと、審神者は遠くを見ながら思った。




大広間に全員を集め、審神者は一人ずつに土産の菓子を配った。

「はーい、今日のお土産はパスタスナックでーす。おやつに良しおつまみに良しの一押しハイスペックスナックよ。みんな味わって食べてね」

はーい、といいお返事が返ってくると、いつの間に用意していたのか次郎太刀が早速酒の肴にして飲み始めた。短刀達は二種類ある味をお互いに交換しあってはどちらが美味しいなどとやっている。ふと愛染が審神者の足元にある未開封の菓子の袋に目を留めた。

「なぁ主、そこに残ってるヤツはどうするんだ?」

「うん?これは私の分」

一瞬の静けさの後に、「ズルーい‼︎」という大合唱が巻き起こった。
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