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【刀剣乱舞】 顧恋抄 【短編集/R18含】

第3章 その指先が描く線 【山姥切国広】


そう柔らかく微笑みながら言う国広の方が、余程泣いているのではないかと思えた。
きっと、彼は自分の表情に気付いていない。
気付かないまま相手の事ばかりを考えて、そして誰よりも深く傷付いていく。

「国……広―――」
「美桜。もう、その指で線を引かないでくれないか………そのように……線を。俺とお前の間に、お願いだから―――」


―――ああ、もう……


伸ばした掌は彼の頬を包み込み、啄ばむ様なキスを与えた。
そして、ちょっとだけ勇気を出して彼の耳元で囁いてみる。

「私の身体も魂も……既に、国広だけのものよ」と。


壊れてしまいそうな彼の笑顔を守りたくて
これ以上、その優しさで彼自身を傷つけて欲しくなくて


私はシーツに指を滑らす代わりに、国広の背中に両の腕を回して、思いっきり彼を抱き締めた。


「……国……広―――」


再度、繰り返す彼の名を。
そして私も、回されたの腕の中で
総てを受け止められながら、抱き締められているような気がした。





だから『今』だけを
あなたの総てを
私の総てを 深く深く刻み込んで






ふと伸ばす 指の先 
そこには確かな 彼の温もりが広がっている―――――








END


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