第17章 One more
「はぁぁっ・・・!」
いまだにサボに囚われているエスメラルダ。
「んっぁ・・・離せ!」
「分かった。」
ん?
妙に素直になった。
「っつはぁ!!もう二度とすんな!!!」
「楽しかったか?」
「馬鹿!!!」
エスメラルダは顔が赤いままサボを睨む。
「何でだろ。」
「は?」
「今のお前全然怖くない。」
「なんで!!」
「だからなんでだろって言った。」
「はぁ。」
エスメラルダは部屋を出ようとした。
「どこ行くんだ?」
「コアラんとこ。」
「俺も・・・」
「来るな!馬鹿!!」
「照れんなって!」
「違うわアホ!!」
_モウ、ウルサイ_
「微風?」
微風がエスメラルダの影の中から現れた。
_ワタシヲツヨクスルンジャナカッタノカ?_
「こいつが悪い。」
サボを指差す。
_ドウデモイイ、ワタシヲホウッテオクナ_
「お前ら似てるな。」
「あたりまえだろ?私の影なんだから。」
_アタリマエダ、ワタシハカゲナンダカラ_
見事にセリフが被った。
「プハッ!お前ら笑えるくらい・・・アッハッハッハ!!」
「お前の笑いのツボ意味分からん。」
_マッタクダ_
2人に冷たい目で見られるサボ。
「だってよぉ、その微風?ってやつは影じゃなくて人にしか見えねぇんだからよ!」
「私が人の体を与えたからな。別に姿は変えられるぞ?」
_ナンニダッテナレル_
「へェ。」
微風はすぐに姿を変えた。
「・・・なんで兎だ・・・。」
エスメラルダが絶句した。
_オマエノシュミ_
「はぁ!?兎が好きだと思ったことはない!!!」
「そうなのか?」
「違うって言ってんだろ!!」
_ウソダ_
びっくりした。
微風が何故兎なんかに・・・。
「お前が好きなのか?」
_ソウ、タブンウマイ_
「・・・食うのかよ。」
_ウマイ_
「お前ら姉妹みてぇだな。」
「ほとんどそうだろ。」
サボは立ち上がって微風に手を伸ばした。
だが、
手はすり抜けた。
「残念だな。こいつは影だって言っただろ?」
「だが、前はこいつが俺に触れた気がするんだが・・・。」
_ワタシカラナラサワレル_
「そういうもんか。」