第11章 魔法のかけられた時間
さあ。夢のような時間の開幕だ。
綺麗な内装。ゴージャスな飾り。
おいしそうなご馳走。
大人はワイン片手におしゃべり。
そのほとんどが、仕事関係の話だった。
やっぱり、この空気に最後までついていける自信がない。
「挨拶に回る。藍もついてきてくれ。」
「は、、、はい!!でも、私何をすれば・・・」
「軽く挨拶をし礼をして笑っているだけで構わないよ。」
「はい。」
指導されるがままにやった。
あぁ。意外とあっさりしてたけど
やっぱり話の内容は家柄や仕事関係の話だった。
赤司君、すごいなぁ。
いつも、こうやって一人で何もこなしてきたんだ・・・
この別世界のような場所に小さいころから
体験してきたんだ。
そんなこと思いながらも時間は進み
気が付けば2時間も立っていた。
「ふぅ。大体挨拶は回れたな。」
「赤司君すごいですね」
「たいしたことないよ。少し休もうか?」
「はい。」
そのまま外に出て夜の月を眺めてた。
今夜は満月。とてもきれい。
「藍。無理をするなよ。疲れたら早めに言えよ。」
「す、、すみません」
謝った瞬間、唇になにか暖かくてやわらかいものが
あたった。
「ふ・・ふぅん♡♡♡」
長いキスだった。苦しいけど離れたくない
そう、思った。
「ぷはぁッッ!!」
「今のキスは少し苦しかったね。すまない。」
「い///いえ。大丈夫です。」
満月の見える美しい夜。
私と赤司君は長いキスを交わした。
あ。
そのときやっと気が付いた。
私たちは付き合ってもいないこと。
そういえば、いつもキスされてたけど
私たち付き合ってないんだ。
プロポーズもなにもかもしてもされてもいない。
そのとき、やっと現実に帰ってきた。
決して帰ってきたくはなかった。
あぁ。憂鬱だ。
そんな言葉がすばやく私の頭の中をよぎった。