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誰よりも輝いて【黒バス 笠松 幸男】

第10章 夏風




暑い。




夏の駐車場での待ち合わせは、本当にやめておけば良かったと、私は今、とっても後悔してる。




「…あちー。」




おばあちゃんが使うみたいな渋い扇子で全身を仰いでる廉を右目に、私たちは矢吹くんのお父さんの車を待っている。




矢吹くんに




「廉と俺と一緒にさ。三人で海行こうよ。」




そう誘われたのをきっかけに、奈緒ちゃんも海に行きたがっていたから、四人で海に行くことになった。




ありがたいことに、矢吹くんのお父さんはわざわざ休日に車で送り迎えをして下さるそうだ。




本当に、ありがたい。





海なんて、水着を着るのも、日焼けするのも嫌だからと、ここ数年来てなかったけれど…




奈緒ちゃんが「めぐみちゃんは可愛いから、大丈夫♪」と言ってくれたから…/




ついつい久しぶりに来てみたかったってのもあって、来てしまった。




「あっ、来たぞ。」



「ん。」




「持つよ。」



「ありがと。」



廉に荷物を入れたバッグを任せ、私は先に、矢吹くんのお父さんに挨拶をすることにした。



「今日は、本当にお休みの日にわざわざありがとうございます。矢吹くんの友達の玉利です。…あと、幼馴染みの三嶋 廉です。」




「君がめぐみちゃんかぁ…。可愛いね。今日は宜しくね。」



「は、はい!」



なんか、きき、緊張するな、この人。



「オヤジ!やめろよチャラいから。」




はぁー……




矢吹くんのほうがなんだか大人に見えてくるよ。




「悪いな、玉利。はやく乗っていいから。」


「う、うん。」



矢吹くんがお父さんを叱りつけるその後ろ姿は、本当に仲良し親子なんだなって感じで素敵だ。





「めぐみちゃん、矢吹くんのこと、好きなの???」



「へっ?」




振り返ると、既に後部座席に座りみんなを待っている奈緒ちゃんが、私のほうを、ワクワクしながら見ていた。




「ない!断じて!!」



あるわけないよ。



…だいたい、叶わないし。




す、好き/とか…/;;




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