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儚さゆえの愛しさで【銀魂】

第4章 "雪螢"



桂side

旧友、この呼び方が適切なのだろうか。
袂を別った俺たちは、もう戻らないところまで来てしまっている。

師を戻すために戦ったが、師を自分達の手で殺めたようなものだ。

血塗られた過去。
多くの仲間を失って自分達に何が残ったのか。

耐えられない悲しみと。
唇を噛むほどの屈辱と。

手足が千切られ、体を焼かれ、なぶられるような不安定な心を持ったこともあった。

それでも、もう誰も自分達に手をさしのべる人はいない。

絶対無二の二人でさえ、自分のもとを去っていった。

師と同じ思い出をもちながら、それに触れられたくなくて去っていったことは自分自身もよく理解している。


数年後、自分は倒幕の夢を再び持った。

この歪んだ世界を、戻したくて。
仲間とは決定的に敵意を表しながら。
耐えてきた。

恐ろしいまでの、誰にも見せたことのない不安を。

なのに。

なぜこんなときに。



晋介と同じ、危うさを持つ女が現れる。



宗に執着し、何としてでも、そんな思いが加速している様子に見えた。

今はまだ、宗がいるから成り立っている。
壊れないでいられる。

でも、もし。

もし、その時が訪れてしまったなら。

俺はあの頃のように呆然としているわけにはいかないのだ。
仲間の屍を乗り越えていかなければならないのだ。



……今度こそ止めなくてはならない。
手が届くうちに。


けれどもしこの世にまだ神が存在しうるなら____________……。


どうかこの二人に幸あらんことを。


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