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モノグラム

第5章 夜景




 次の日に

私は約束の時間に店の前で待っていたが

約束の時間になっても彼は来なかった


「15分過ぎている....」


ため息とついた時だった

昨晩の車が目の前に横づけすると

そして窓が開いて


大倉「遅くなってごめんな

乗ってくれる?」


私は無言で彼を見つめたが

彼の車は後ろの車にクラクションを

鳴らされていたのもあって

言われるままに

彼の車の扉を開けて横に乗った


「どこに行くのですか?」


大倉「ええとこ....」


彼はにっこりと微笑むと車を走らせた


私は車の中では

彼と話す事もなく

窓の外を見ていた




実は

私は車が嫌いだった

私の暗い記憶を呼び戻すから

何も言わずに窓の外を見ている私に彼は



大倉「何か怒ってるん?」


「べつに、いつもこうですけど....」


大倉「そうなんや」


彼は

少し呆れながら車を走らせ続けた






 私には

学生時代に恋人がいた

彼とのデートは免許を取った彼の運転で

ドライブばっかりだった


二人で楽しかった

そう一緒にいれたらそれだけで....


でも

あの日に私の全ては変わった

雨の夜に.....






大倉「おい、大丈夫か?着いたで」


気が付くと

彼が私の身体を優しく揺らしていた

私は驚きながら彼を見た


大倉「少し眠ってたみたいやな」


そう言うと小さく笑っていたが

私は自分の頭をかいて

必死で戻そうとしていた

頭の中で昔の記憶が消えなかったから

最近は

見てなかった夢を見たからだ



大倉「ほんまに大丈夫か?」


いつもの様子と違う私に

彼は感づいたのか

彼は心配な顔で聞いてきた


「だ、大丈夫です」


私は必死で気持ちを切り替えようとした


大倉「辛いなら、戻るか?」


私は静かに首を振った


「本当に大丈夫です

ご心配をかけてすみませんでした」


そう彼に言うと車から出た

そこは山の上だと感じた



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