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モノグラム

第3章 傷




呆れた顔の私に彼は話し続けた


大倉「ヤスには

事務所に忘れてきたからって言って

俺の部屋に泊まってもらったんや

今からアイツに返さなあかんから

ちょっと焦ってたん」


私は叩き起こされた理由を理解した


「人のだから

キーホルダーは付けれないと....」


大倉「そう言うこと」


私の言葉に彼は笑って言った


彼の言葉に私はため息をついた


大倉「ほんまに助かった

拾っといてくれて

ありがとうね」


「いいえ....」



相変わらず不愛想に答えた私に


大倉「なぁ、一つだけええ?」


「なんでしょうか?」


私は

これ以上何の話があるのだろうと思った





彼は

ゆっくりとソファーから立ち上がると


大倉「なんで、そんなに可愛くないいん?

女の子やのにさ」


その言葉に私の怒りが頂点にきた


「女の子が可愛くないとダメって

誰が決めたんですか!」


突然の怒りに彼は驚いた顔をしたが

少し笑いながら


大倉「ちゃんと怒れるんや」


「はぁ?」


大倉「怒ってる癖に

ため息でがまんしてるからさ」


私の怒りがその言葉で突然収まった


大倉「怒りたい時は怒った方がええよ

自分に嘘をついてたら

本当の自分が見えなくなるからさ」


そう言うと

手に持っていた鍵をポケットに直した


私は彼の言葉に何も言い返せずにいたら

そんな私を見て微笑んで


大倉「このお礼は必ず....」


そう言うと

店から出て行ったのだ



私は

しばらくその場に動けずにいた



一瞬 私の心を見抜かれた気がして

心に突然入って来た気がして


その時から私の必死で忘れようとしていた

心の傷が疼きだしたのだ




そして

彼との時間も

これだけで終わる事はなく

この時は

彼と恋に落ちるなんて

誰も思っていなくて



もう二度と会いたくない

人になっていたのでした

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