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モノグラム

第2章 鍵




 私はやっと仕事を終わり

疲れた身体で店の外に出ると

誰もいない道路に男が一人スマホを

いじくりながら立っていたのだ



見た瞬間に

寝ていた人だと分かったが

私は知らない顔をして

俯きながら通り過ごそうとした

すると


大倉「あっ」


彼は私を見て声を出した


私は驚き

足が自然に止まってしまったのだ

そんな私を見て彼は


大倉「さっきの店員さんや」


スマホからの明かりが

彼の顔をうつしだいしていて

まぁ

整った顔で

アイドルになるなと私は思った


「どうも....」

私は不愛想に返事をした

彼は私の態度に

声を掛けた事を後悔したのか

きまずい沈黙が流れた

その空気を打ち破ろうと彼は


大倉「今、終わりなんや」


「はい....」


大倉「こんな時間に

一人で帰って大丈夫なん?」


「いつもなんで」


大倉「そっか....」


彼の頑張りも空しく

二人の会話が止まってしまった



お互い気まずかったが

そのままで去るのも変な空気だった


正直、私自身も

どうしていいのか分からなく

困っていたのだ

こんな事は初めてで

去るに為の言葉を必死で考えていた



彼自身も

声を掛けたが

困ったと思ったに違いない



そんな二人の所に

一台の車が横づけしながら窓が開き


安田「ごめん、ごめん遅くなってぇ」


安田章大がその車から顔をだしたのだ

すると彼は私に


大倉「ほんまに、今日は色々とごめんな」


そう言葉を残して車に乗り込んで

さっさと行ってしまったのだ


私は彼が去った後も

その場に立ち尽くして

ため息をついていた


私はあるモノに気が付いたのだ

彼が立っていた場所に

小さい光るモノに



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