• テキストサイズ

愛のNight raid

第9章 【VIP】吸血鬼の部屋


「ほらルチア……いつもお前に血をくれる麗しの君だよ」
ヴィアトリクスの言葉のルチアが彼女を見る。
途端、婦女は黙りきゅっと拳を握った。

「貴女が……」
ルチアのまるで骨の様に白い肌に紅がさす。

「か、勘違いしないで下さいな。私はべ、別に……」
俯く彼女。
肌は未だ隅から隅まで赤い。

「嗚呼、麗しい貴女、心優しいお嬢様、我が主様……」
ルチアは感極まったように呟きながらその足元に跪く。

「何とお礼を述べて良いのでしょう、わたくしの麗しい君……マイロード」
膝の上で握られている指を解きほぐし、その手を取る彼。

「おいおい、お前の主は私だよ?」
呆れた様なヴィアトリクスの声にルチアは赤らんだ顔を向ける。

「私の血をピンハネする穀潰しは黙って下さい」
ルチアは云い、真っ赤なミュラーに向き直りその手に唇を重ねた。

「貴女様がわたくしの麗しの君だったのですね」
甘い優しい声に彼女は俯いたままプルプル震えだす。

「ち、違います。私はただ……」
「ええ、ええ、分かっていますとも。この憐れな下僕めにお情けをかけて下さっただけですよね。それでも私は嬉しい。ああ麗しい貴女、何とお礼をして良いか」
唇を愛しげに手の甲に這わせるルチア。 

「ち、違います。わたしは、私が貴方が……好きよ」
云いながら彼女は片手で襟元のリボンをかなぐり捨てた。

「お好きなだけ吸って?」
ミュラーは釦を外し襟元を弛める。
少年と繋いでいた手を離し服を肩口まで下げた。


「レディ、私の前でそれは面白くないよ」
茶をちびちびと口に運びながらヴィアトリクスが云う。

「じゃあ、あなたも吸う?」
潤んだ目で見られ、彼は相合を崩した。
/ 178ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp