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【ハイキュー】ひとなつの (poco a poco2)

第3章 説得と約束


「東京のこと、おばさんとおじさんはなんて?」

夕食後、菅原はそれとなくメールしてみる。

立花は今夜は菅原家に来なかった。まだ怒っているのだろうか。

「二人とも喜んでる。これまで、私が友達とどこか行くことなんてなかったから。
勉強以外にも今しかできないことはたくさんあるよって言われた。」

すぐに返事がきて菅原はほっとした。怒ってはいないようだ。

「そうか。昼間はごめん、いろいろ。」

「ねえ、今から行ってもいい?
お母さんがメロンもらってきたの。おすそ分けに行ってきてって頼まれてるんだけど。」

「おう。ていうかいつも許可なんて取らないくせに。
暗いから気をつけろよ。あ、俺がそっち行こうか?」

「平気。すぐ行く。」

菅原は部屋の窓から外を見る。
立花の家は文字通り目と鼻の先だ。
すぐに、紙袋を抱えて走ってくる立花の姿が見えた。
菅原はリビングに降りて行った。

「で、本当に行くのか?東京。」

立花の持ってきたメロンを食べながら菅原が話を振る。

菅原の母はテレビに夢中でこちらの話は聞いていない。

「うーん。でもこうちゃんは反対なんだよね?」

「反対って言うか、良く考えてみろよ。
東京は暑いし、一日中エアコンのない体育館で過ごすんだぞ。
それも一週間も。お前絶対倒れるって。」

「うん。昼間はちょっと強気になってたけど
冷静に考えたら、絶対こうちゃんにもみんなにも迷惑かける気がするし。」

意外にも立花は慎重だった。

「じゃあ、何を悩んでるんだ。
大地に行くって言っちゃったことを気にしてるのか?」

「それも、あるけど。あと……。」

「なに?」

「ちょっと、楽しそう、って思っちゃったんだよね。私、中学も高校も部活やってなかったから。
合宿とか遠征とか、こうちゃんの話でしか知らないから。」

「遊びじゃないんだぞ。」

ため息まじりに菅原は言う。

「うん。分かってる。
でも、もし私が行くことで、役に立てるなら嬉しいなあって思ったの。
バレー部のみんなには、感謝してるし。
学校行けるようになったこととか。」

立花は麦茶の入ったグラスの水滴をなでながらつぶやいた。
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