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愛されたい症候群。

第5章 今日はあんみつ食べに来たけど




それから1年経つ間に
よく話したり一緒に呑んだり
かなり親しいと言える間柄になった

そうなっても
俺には一つだけ気になっていて
まだ聞けないことがある


霜月があの時の氷帝の女の子だったのか


自分の中で確信はあったが
半信半疑であることも事実で

本人に聞いてみようと思ったが
なんとなく、中学の時の話は
したがらないように見えた


だけど先輩たちから
変な噂…過去の話も噂というのかは
分からないけど

とにかく気になる話を耳にして
次会ったときに聞いてみようと決めて

また東京へ遠征することになり
自由時間に呑みを誘った

白石部長と謙也さんが
着いてくるのは計算外


「なー慶ちゃんって部活やっとった?」


特に大したことのない質問
だけど俺は見逃さなかった

白石部長の何気ない質問に霜月の
顔が強張り、一瞬動きが止まったこと

すぐいつも通りの霜月に戻ったが
やっぱり何かあったのだろうか


考えていたら呑むピッチが早くなり
いつも以上に早く酔ってしまった 情けない


自分の酔い醒ましと霜月を送るという
口実でやっと2人になれたから
…まぁ結果オーライ

言葉の引き出しが少ない俺では
難しく考えながら言うのは無理なので
直球に言葉にした


「お前、氷帝やろ」


疑問形でもない、断言
違ったなら違ったで別にいい

例え違ってもこの1年ちょっとで
俺が霜月に惹かれているのは事実


「は…?」


今まで見たことのない
血の気の引いたような表情を見て
ここで止めるべきだったかもしれない

ただ少しの好奇心もあった

止められなかった


見たことがあると言えば
どこで?という問い
それはもう肯定してるということ

彼女の顔色がどんどん悪くなっているのに
酔いながらも気づいたが
勝手に口が動く


「やから、」

「やめて!!」


小柄に似合わない大きな声
ぎゅっと握られた拳に
とてつもない後悔の念が襲った

そして思い出すあの噂


『氷帝にはマネージャー2人おったねんて。
やけど1人はすぐ辞めたんやと』

『なんで辞めたん?』

『なんかな、そのマネージャーらは
姉妹らしいんやけど
姉ちゃんばっか出来よくて妹が嫉妬して』


『妹が姉ちゃんイジメたんバレたらしいわ』



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