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あなたの好きをまだ知らない。

第5章 夏草


じりじりと照りつける日差しが、今日も俺を照りつけていた。
ただいま夏休み2週間目、
なのに、今俺は家でごろごろしながら高校野球を見ていた。
家の高校は弱小だから出ることはないだろう。

「はぁ…あちぃな…」

夏だと言うのにクーラーも無ければ、扇風機もない。
困ったものだ。
家具はテレビと洗濯機、そして最低限の食器しかおいていかなかった。

「…クーラー…買おうかな…」
今月の仕送りはまだ半分も使ってない。
思い立ったが吉日。
そう思って立ち上がると、急にインターホンが鳴った。

「はい。どなたでしょうか。」

「…冴杜。」

聞きなれた声だった。
だが良く覚えておらず、俺は玄関を開けた。

「…母さん…」

そこにはあの母がいた。
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