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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第7章 そういうことだったのね



後半戦開始直後。

テツ君のパスが通った。


「…!」


そのままボールは真ちゃんの手から放たれ、ゴールをくぐる。


「な…」

「え…。な…っ」

「何が起きた今!?」

「ボールが曲がっ…曲げたのか!?」

「わかんねー。見逃したぁ!?」


ギャラリーからだけでなく帝光のベンチからも驚きの声が上がる。

コートの中で征十郎と大ちゃんは嬉しそうに笑い、私も思わず笑みが出てしまった。


「漸くパスが通ったのはいいんだけどよ…。また何で急に」


修ちゃんは不思議そうに首を傾げた。


「午前中テツ君のパスが皆とかみ合わなかったのは、パスが弱かったのと速さが遅かったからよ」

「あ?どういうことだ?」


意味が分からない、と修ちゃんは尋ねる。

私は、コートの動きから目を離さず、スコアを書きながら答えた。


「テツ君は今まで三軍にいたでしょう?当然パスを出す相手も三軍。三軍の人たちより動きの速い一軍の彼らに三軍同様のパスを出してかみ合うわけないじゃない。だから少し修正を入れたの」


征十郎がね。と付け加えた。


「なるほどな…」


これまで動きが鈍っていた皆も、パスが通るようになったことで負担が減り、シュートも前半より決まるようになった。

点差は見る見るうちに開いていき、71-55で帝光の勝利で幕を閉じた。



そして、この日からテツ君は「幻の六人目」として密かに噂されることとなった。

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