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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第5章 「怖い」と感じた



三軍の体育館…。


「まあ、大ちゃんはどこも悪くなさそうだけど、程々にね」


大ちゃんが、おぅ、と返事をして体育館を出て行った直後、さっちゃんの声が聞こえてきた。おそらく、私が聞く耳を持たなかった例の話でもしているのだろう。


「華澄」


声がして振り返れば、征十郎と真ちゃんがいた。

この二人も大ちゃんと同じく特に目立った不調は見られないのだが、私に用があるのだろう。


「先日の練習試合のデータはもうできているか」

「勿論できてるわ。帰りに渡す」

「藍川は相変わらず仕事が早いな。いつもご苦労なのだよ」


真ちゃんは感心したように言う。

そう、任されるようになったのは身体管理だけではない。情報分析もだ。試合の前となれば部員のとってきたビデオや過去の試合データなどから、そのチームの癖や弱点を引っ張り出す。試合後には、今後のために相手チームの分析、さらに帝光中の分析や大雑把な今後のトレーニングメニューも考えなければならないため、なかなかハードである。

しかし、任せてくれるのは、それだけ私が認められているということでもあり、チームが強くなることは私としても嬉しいことなので、身体管理同様、全く苦ではない。


「役に立てるのならいくらでも頑張れるの」


本心だった。

バスケ部のためならちょっとくらい寝不足でも平気だ。

それにさっちゃんをはじめ、他のマネージャーも私の仕事を手伝ってくれるし、何かと修ちゃんも気にかけてくれる。

バスケ部のマネージャーになって良かった、と心から思う。


「あまり無理をしてはいけないよ」


征十郎はそれだけ言って、真ちゃんと一緒に体育館を出ていった。

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