第3章 誘拐
「……で、相談って何かな。」
部活解散後、青峰との事件があった公園で黒子と二人っきりで話をしている。なんとも不思議な気持ちでいる南雲だが、この際どこでもいいので場所はともかく黒子に話を切り出す。
「はい、南雲さんって、青峰くんのなんなんですか?」
……おーっと、あれれ。
「……ん?」
話が違う、聞いていない。メーデーメーデーと南雲は誰にでもなく救助を求めた。
「だから、青峰君です、まさかキスまでしといて、名前も知らないなんて」
「ス、スットップ!!!待って待って!!!」
黒子の話を必死で止めれば、カラカラに乾いてしまった喉を潤すために、ごくりと唾を飲んでから話し出す。
「……バスケの相談等のは…………」
「嘘に決まっているじゃないですか」
さらりと、冷徹に、冷静に、無慈悲に、黒子はそう言った。南雲は絶望した、否、自分がどこまでお人好しなんだろうと悔やんだ。
「……青峰君とは、別に何でもないんだ。その……、なんだろう……色々あって、何故か青峰君からキ、キス……されて……」
訳を話そうと、南雲は必死に言葉を選びながら黒子に説明しようとした。
が。
「ふざけないでくださよ」
黒子はその一言を発してすぐ、南雲の後頭部を思いスクールバックで殴った。突然の事で南雲は対応できていなかった。
「ッ……ぅ、……」
頭痛に襲われグラグラと揺れる視界の中、無表情で南雲を見下ろす黒子を最後に、南雲の意識は完全に途絶えた。