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【テニプリ】桜の木の下で

第7章 【とある乾の禁書目録】




伝説だとか桜の精だとか


そんなものは思春期特有の夢物語だと思っていた


俺は科学で証明できないものは信じない


信じられるのはデータと自身の努力の結果だけ


そしてデータと努力は俺を裏切らない



【とある乾の禁書目録】



さて、これにこれを入れたら完成だ・・・
ふふふ・・・うん、いい感じだ・・・
これで大成功する確率・・・100パーセント!


俺はその日、理科室を利用して新しい乾汁の試作品を作っていた。
これで完成というその時、突然ドアが開く。


「だ、大丈夫!?早くこっちへ!!」


ドアから飛び込んできたのは1人の女子生徒。
彼女は慌てて窓を全開にすると、俺の手を引き、理科室から出るように促す。
彼女の血相を変えたその様子に呆気にとられた俺は、とりあえず彼女の指示に従い廊下に出る。


「はぁはぁ・・・良かった・・・」
「これはどういう訳かな?」
「どこか具合は悪くない?大変だったね・・・」


彼女は興奮していてなかなか会話が成立しない。
俺はふーっとため息をついて、いったん落ち着くように彼女を促し、もう一度、どういう訳か尋ねる。


「・・・あの・・・ガス漏れ・・・よね?」
「そのような事実はないと思ったが・・・」
「え・・・だって・・・凄い臭いがしてたけど・・・?」
「・・・」


俺は思わず無言になる。
どうやら特製乾汁の臭いをガス漏れと勘違いしたようだ。
そんなに酷い臭いだろうか、自分ではわからないのだが・・・。


「いや、申し訳ないがガス漏れではない。」
「え・・・?」
「今ちょうど文化祭のウエルカムドリンクを作っていてね。」
「・・・は・・・?」


俺は彼女を促し理科室に戻る。
先ほど完成した特製乾汁を彼女に見せる。


「俺は文化祭実行委員をしていてね、当日全校生徒と訪問客にウエルカムドリンクを配ろうと思って今、その試作品を作っていたんだ。」
「・・・はぁ・・・」


「文化祭はそれぞれのクラスや部活で色々な模擬店を出す。食べ物を扱う店も多いだろう?だから沢山売り上げが伸びるように食欲増進効果を期待して作ったのがこれだ。」
「・・・」


「題して『飢える、噛む』!」


プロトタイプ1号だ、試飲してみるか?そう言って彼女にその試作品を渡した。
彼女の笑顔はどこかひきつっていた。


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