第1章
『此処が、京の都……。』
我知らず唇から、ほう、といきが漏れた
京に暮らす人々は誰も彼も、優しげな笑顔を浮かべている
交わされる柔らかな言葉たちさえ、この都にはしっくりと似合っているような気がした
でも……。
京の市中に漂っている空気は不思議と冷えているように思える
田舎者を廃除しようとする高い壁が、密かに存在しているかのようで……。
『なんだか……。』
ちょっと居心地が悪いような……。
『ううん。気のせいだよね』
京まで歩き通しだったから、心も体も疲れているのかもしれない
だけど、もちろん疲れているからと言って、ただ立ち尽くしているわけにはいかないのだ
『あの、すみません!』
私は少しの勇気を出して町の人に声をかけた
『道をお尋ねしたいんですが―――』
親切に答えてくれて、言われた道に行った