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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第4章 ◆二人きり









「 刹凪(さつなぎ)


貴方に返します…。」




その瞬間



さなはまたしても、意識を手離した。



暗闇の中、刹凪の記憶が

よりリアルに流れ込む。



……



さなが名の返還に応じ始め

はや、2週間が経とうとしていた。


人間にとって夜というのが

寝るものだということは

妖にはまだまだ理解出来そうにないほど

引っ切り無しに夜な夜な

妖に訪ねられる毎日で


さなにとっては

体力も限界を超えつつある。



そして如羅の名の返還より

夏目とは学校で度々、

状況確認を話すようになっていたが

学年が違うことでお互いの暇が見つけられず、

すれ違うことも多く


夏目は、毎日げっそりとしているさなを見ては

いても立ってもいられず

時折、放課後にさなの家を訪ねては

様子を見に行っていた。




「今日も来そうだな…。」


夏目はそう呟くと荷物を手早く纏め、

家路とは逆のさなの家の方角へと

早めに足を進めることにした。





「夏目、お前はまた行くのか。

お節介な奴だ。」


ニャンコ先生は

ゆさゆさと揺れる鞄の中から

ひょっこりと顔だけ出すと

そう正論を吐き捨てた。




…確かに、それはそうだけれども。




誰かに頼ろうともせず、

ひとりで名の返還に応じているさなは

弱音をひとつも吐く事なく身を削りながら、

使命を遂行しているようだった。


いつか、壊れてしまうのでは、と

夏目がさなに声をかけても

さなは目の下に真っ黒いクマをつくりながら

大丈夫。の一点張りで

それ以上の事を言わなかった。



…ー逆に心配になるんだが。



ふう、とため息をこぼしながら

前方に見えてきたさなの家へと

夏目は足早に向かった。

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