第14章 ◆誕生ノ日
ー・・・そうして迎えた夏目の誕生日当日。
梅雨真っ只中である筈の七月一日が
珍しく雲一つ無い晴天に恵まれた。
そして、この日は土曜日ともあり
皆は朝から集まる事となったのだ。
「 おっはよーっ!
いんやぁ、良い天気だな!
暑過ぎるくらいだー
川にでも飛び込みたいなぁっ!皆の衆。」
「 ・・・。」
そう言って、何故か
まだ空気の入っていない浮き輪を
持参してきた西村は
皆より少し遅れての登場。
「 いや、
水着すら持って来ていないぞ。」
言葉を無くす中で夏目が冷静に対応した。
「 そんなの、
男ならパンイチで上等だろ?」
「 西村、・・・女子もいるぞ。」
「 ハハ・・・。」
夏目の突っ込みにすら
キラッと歯を見せ笑い親指をおっ立てながら
まるで名言でも吐くような仕草で決める西村に
今度は田沼が突っ込み、
その田沼の背後から
ひょっこり顔を出す多軌が小さく手を振る。
・・・しかし、その笑顔は少し引き攣っていた。
「 っ!
た、多軌さんんッ!!
おっおぃ、・・・夏目。
多軌さんが居るなんて聞いてないぞ。
めちゃめちゃ恥ずかしい奴
みたいな登場をしちゃったじゃないか俺!
どーしてくれんだよー夏目ー!」
咄嗟に真横に居た夏目を掴んで
その場に背を向ける西村が、
西村に引っ張られ同じように
背を向ける事となった状態の夏目に
小声で文句を放った。
「 ・・・まぁ、
西村らしくて良いんじゃないか?」
「 って、それどういう意味だよ!
・・・俺がいつも恥ずかしい奴って事か!
夏目はいいよなぁー
その身形でクール振ってさ!
そりゃぁ女子からも人気出るしさぁ、
さなちゃんとだっていつもいつも
一緒に帰っちゃって・・・あー羨ましいぜ!
・・・
・・・・・・
・・・って、
そう言えば
さなちゃんはまだなのか?」
そこまで言って初めて気付く、
いつも西村が気にかけていた存在。