【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第9章 休暇期間
「おらおら土方、試合中飛んでくる球は一個とは限らねーぞ」
いや限るだろ。
流石に野球に無知な八雲もそれくらいは分かっており心の中で突っ込んだ。
今3年Z組の何人かの生徒達と銀八は来週の土曜日の試合に向けて野球の練習に取り組んでいる。
生徒の一人である志村妙が、野球部の子達にあげたスライムの死骸…いや、スクランブルド・エッグを食べてしまい緊急入院。
その責任を取るべく3Zは代わりに試合に出ることとなったのだ。
これ、練習になってるのかな。
ベンチに腰掛け銀八達の練習光景を見ながら、八雲は内心溜息をついた。
八雲も一応助監督代行として参加する事になったのだが…
「大丈夫か?あんま無理するなよ?はいドリンク」
「ありがとうございます!」
汗だくになっている近藤にスポーツドリンクを渡す。
やっている事はほぼマネージャーだ。
「試合、頑張れよ。応援してるから」
笑顔で言うと近藤も同じように笑みを返してくれる。
自分とは違い明るい自然な笑顔だった。
「まっかせて下さいよ!必ず勝ってみせますからゴフッ!」
大きく口を開けて笑う近藤の顔にボールがヒットする。
「何やってんだ近藤ー!いつまでも休んでねーでさっさと練習戻れ!」
ボールを打った当の本人である銀八は悪びれる様子もなく声を飛ばす。
「いててっ…じゃあ、俺練習に戻るんで!」
「き、気を付けて…」
鼻血を出しながら元のポジションに戻る近藤を見送った。