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【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】

第21章 鎖は切れた





「んじゃ、そろそろ帰るよ。明日は休むなよ、3年Z組副担任の白水八雲先生」



バタンと音を立て銀八は部屋から出ていく。
一人残された八雲は壁に凭れ掛かりそのままズルズルと床に座り込む。
殴られた頬を触ると口を切ったらしく痛みが走った。


思いっ切り殴りやがって。あの学校に赴任されてから殴られたり犯されたりロクな事起きてないな。…俺もとんでもない事言っちゃったし。


心の中でブツブツと文句を呟きながら、辞表を拾い上げるとビリビリに破りゴミ箱へ捨てた。


崖っぷちだな。逃げ道がなくなった。あんな事言った以上、もう前に進むしかない。
いや、こうなりゃ意地だ。意地でも辞めねーぞ。あいつにまた負け犬呼ばわりされるのは嫌だ。認めさせてやる。


壁に凭れ掛かったまま大きく息を吐く。
何だか今までの自分がとてもバカらしく思えてきた。


何が居場所だ、何が一人が嫌でだバカバカしい。俺を支配していたのは、高杉でも誰でもない、自分自身じゃないか。
俺はずっと過去に囚われて、そこから動こうとしなかっただけだ。
けどもう鎖はない。過去を気にする余裕もない。前に進むしかなくなった。



「…やってやるよ」



決意し拳を強く握り締める。
ふと鏡にうつる自分と目が合う。その顔は何となく、いつもと違う顔に見えた。

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