第30章 第29セット
*優side*
どうすればいい、、、
若が本気で言ってくれてるのは分かる。
けど、今の私にはホントの気持ちが分からない。
それに、若に抱きしめられながらはじめの顔が浮かんできてしまった。
まだ忘れられていない証拠だ。
こんな私が誰かと付き合っていいはずがない。
それにまた“声”が出ないことで拒絶されてしまうのではと怖くて仕方がない。
身じろぎ一つしない私を見兼ねたのか、若が私をそっと離して再び言葉を繋いだ。
牛「代表に入る気は無いか」
だい、、、ひょう?
牛「世界ユースのだ。女子で若い世代のプレーヤーが少ないらしく、優れた人材を求めてるらしい。
お前なら、自信を持って推薦できる。
どうだ?やってみないか?」
私が?世界ユース?
無理に決まってる。
何より、徹たちともっと距離が開いてしまう。
そんなのッ、、、
牛「俺はまた、お前と同じ舞台でバレーがしたい。
それが、俺の女という立場であっても、
チームメイトという立場であっても。
難しいことだから返事は急がなくていい。じっくり考えてくれ。」
そう言って私の手を取り家まで送り届けてくれた。
その後どうしたかはあまり覚えていない。