第28章 第27セット
優さんは全国の舞台から姿を消し、
及川さんたちと同じ、青葉城西に入学した。
約2年後。
思い出したように送られてきたメールで、岩泉さんと付き合うことになったと教えられた。
なぜ。
及川さんのことが好きだったんじゃないのか。
及川さんだったから俺は、、、
いや、今は、もう関係ないじゃないか。
あの気持ちは忘れたはずじゃないか。
先輩と後輩というだけじゃないか。
今は、全国へ行くために集中しよう。
その考えは、青城との練習試合で呆気無くヒビが入り、
インハイ予選のとき、俺の胸で泣いたことで簡単に崩れ去った。
声が出なくても、優さんは優さんだ。
それに変わりなんてない。
及川さんも岩泉さんも、
この人を泣かすなら、俺が笑わせる。
「優さん。
俺にしませんか?」