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分からなくても伝われば

第5章 メンバーside


(松本さん)




「とりあえず、部屋に案内してもらってもいいですか」

聖星ちゃんがそう言ったから、俺は立ち上がって案内。

「あ、忘れてた。聖星ちゃんしっかり者だね」

 そう言いながら試に頭を撫でてみると、意外な反応が返ってきた。

「褒め言葉のつもりですか」

 全然動じないんだな。てっきり顔真っ赤にして手を振り払うタイプかと。

「うん」

 正直にそう答えると、また変な言葉が。

「全然ドキドキしなかった。嵐は私の趣味ではなかった」

 おお、趣味ではなかったんだ。ってかハッキリ言うなこの子。すごいよ。いい意味で。

「ひどいな」

「そういう人間なんです」

「開き直った」

「開き直って何が悪いんですか」

 何を話しているのかもう分からない。俺は何が言いたいんだ。聖星ちゃんは開き直りがよくあるのか。

「そりゃだめでしょ」

「なんでですか」

 なんでと言われても……。そう思って俺が一言口にしたのは

「……疲れる」

 だった……。女子にこんなこと言ったの初めてなんですが。

「そうですか。お疲れさまです」

 すごく優しい子だった。

「……なんか、すごく、疲れる」

「わかりました」

 わかられてしまったようでした。
 そして、この子と話すのは疲れることに気付いた。
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