第1章 まだまだ彼女はツンツンな模様
「・・・で、これは一体何なのですか。」
「・・・び、媚薬?かな?・・です・・・多分・・・。」
郊外のとあるマンションの一角。
何回も読まれて少し擦り切れている少年誌。
ありふれたアクション物のゲームばかりが乱雑に積まれているフローリング。
いかにも男性らしい部屋の主__もとい私の彼氏、孔明は叱られた小さな子供の様に、自分のベッドの足元に青ざめた顔でちんまりと正座していた。
「へぇ。媚薬。媚薬ですか。この私へのイタズラに媚薬を。・・それは勿論今このように!私が!怒ると!分かっていてやったのですよねぇぇ孔明様!!」
「ごめんなさいって!お願いだからほんとにその敬語モードやめて!!怖いですごめんなさい!!」
ごつりと鈍い音が足元から響いたが気にしない事にした。
土下座なんてして欲しいわけじゃないけれど、それでもここまでプライドをずたずたにされていてはそう簡単に許す事は出来ない。
土下座の衝撃で赤くなったおでこが可哀相で、思わずなでなでしてやりたくなったけども心を鬼にして知らんぷりした。頑張ったよ自分・・・。
今回、悪いのは全部孔明だ。