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キセキに恋した。

第1章 01.緑の失恋


小春side


「お前は本当に馬鹿なのだよ。」


黒子くんと話していると、大好きな声が聞こえ振り向くと真太郎がいた。

真太郎は少し怒ったような顔をしていた。


「なんで…」

「いつもそうだ。1人で勝手に悩んで、1人で突っ走って…」

「真太郎…」


気付いたら黒子くんの姿が見当たらない。


「……本当にバカなのだよ」


突然、ふわりと何かに包み込まれた。
それが何なのかはすぐにわかった。
徐々にぎゅっと真太郎の腕に力が入る。


「お前がずっと俺のそばにいればいいのだよ。」

「しんた…ろ…。でも、」

「でももクソもない。確定事項なのだよ。
もう、俺から離れるとは言うな。…頼む。」


その真太郎の声は、いつもの真太郎からは想像できないほど弱りきった声で、そんな真太郎を突き放すことなんて私には到底できなかった。


「ごめんなさい…」

「わかればいいのだよ。小春…好きだ。」

「なっ…突然やめてよ…」


耳元で語られた愛の言葉に顔が熱くなる。
そして、ようやく真太郎の背中に手を回した。


「…好きだ。小春。お前が嫌だと言ってももう離す気はないのだよ。」

「ははっ…わたしも大好きだよ!」


背伸びをして、真太郎に口付けるとみるみるうちに真太郎の顔が赤く染まっていく。

可愛い。


「お前は…!女がそんな簡単にするものではないのだよ!!」

「ふふ、ごめんね?真太郎、帰ろう?」

「…あぁ、帰ろう。」


真太郎から離れ、手を出すと
優しく微笑みぎゅっと手を握ってくれた。
その手は大きくとても優しく…

この手を一度離したことをとても後悔した。

そして、もう離さない。

そう決意した。


わたしは真太郎と歩み続ける。
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