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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第11章 過去


「……うまいこと逃げるつもりだったのに、最後にやっちゃった……けほ」

「みわっち、苦しいならまだ喋っちゃダメっスよ」

「黄瀬くん、手が! 血だらけ!」

「こんなのすぐ治る。みわっちの方こそ、大丈夫っスか」

「大丈夫……ちょっと驚いただけ、だから。手……すぐに手当てしないと」

「みわっち、首に跡が……」

すごい力だった。
ビクともしなかった。
抵抗なんてなんの意味も無かった。
男の、力。

ぶるっと身体が震えた。

「みわっち……どうしてあんな無茶……」

どうしてこの人の胸はこんなに安心するのか。

……『あんな無茶』……?
……まさか。

「き、黄瀬くん……私達の話……」

「……ごめん、外で全部聞いちゃったっス。みわっちの事だから、絶対無茶するって分かってたし、心配で……」

うそ……うそ……
もう、誰に聞かれてもいいという覚悟で挑んだのは確かだけど、まさか、まさか。

……黄瀬くんは……どう……思った……?
なんて、怖くて聞けない。

ヤツの口から出たおぞましい当時の話。
散々陵辱され、蹂躙された話なんて、誰が聞きたいだろうか。

「……よく耐えたっスね。もう、頑張らなくていいから」

それだけだった。何も聞かず、何も追及せず、責めず。

何度目だろう、また黄瀬くんの胸を借りて少しだけ泣いた。

もう、大丈夫。
ずっと今までの私ではいられない。

「……アリガト……も……大丈夫……」

「立てる?」

よろけた身体を支えて貰いながら、なんとか立ち上がった。

「うん。引越し準備もしなきゃいけないし、まだまだやる事だらけだから……」

「みわっち、引越すんスか」

「うん、一応……学校の近くにしようかなって」

「アイツ……逆恨みとかしてこないっスかね……」

「一応その辺りは母に任せてある……の。子どもだけじゃ限界があるし……これでIHに集中できそう。
巻き込んでごめんね。ありがとう。勝とうね。」

「もちろんっスよ! なんかあったら、すぐにオレに相談するんスよ、わかった?」

「ありがとう……」




……そうして、私たちはIHを迎えた。




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