• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第9章 衝撃


みわっちが突然倒れた時、心臓が止まるかと思った。

もっと、オレがちゃんと見てあげていれば。
バスケのことばっかりで、気遣ってあげられなかった。

恐らく、昨日から食事も睡眠もマトモにとれていないのだろう。

それが分かっていて、また1人の部屋に帰すことは出来なかった。

「お邪魔いたします……夜分に突然お邪魔してしまい、申し訳ありません!」

「こんばんは。ゆっくりしていってね」

母親に深々と挨拶する姿が可愛らしい。

「みわっち、先に風呂入っちゃって」

「あ、そんな」

「いいからいいから。ゆっくりあったまるんスよ!」

泊まるか迷っていたであろう彼女に、こうして逃げ道をなくすズルいオレ。
風呂に入ってる間、黄瀬涼太特製たまご粥を作ろう。

……偉そうに言ってるけど、簡単なお粥だから、料理の腕は必要ないんスけどね。


「お風呂、ありがとう……」

湯上りのみわっち。
温まって顔色が少しマシになっている。

「おかえり。……みわっち、いつからご飯食べてないんスか」

「えっ……き、昨日のお昼が最後……かな?」

「やっぱり全然食べてないんスね。電話した時、ご飯食べたって言ってたのに」

「あ、食べた……んだけど全部戻しちゃって」

サラッと言っているが、相当な精神的ダメージだったんだろう。

みわっちはしっかりしている子だ。
その彼女が、こんなに崩れるなんて。

「……胃に優しい、お粥でいいっスか」

「わあ、美味しそう……作ってくれたの? ありがとう!」

一見、いつもの彼女だ。
でも、なんか違う。

精神が切れそうな糸でギリギリ繋がっている、そんな危うげな感じがする。

オレも風呂を済ませ、オレの部屋に移動すると、開口一番……

「えっと……どっちからやろうか。テスト?」

みわっちは本当に素直だ。
そんなに騙されやすくて大丈夫?ってくらい。

オレのミエミエのあんな嘘にも気付かず純粋に、オレに勉強を教えに来てくれたらしい。

「……みわっち、寝よ!」

「へっ?」

「今日も疲れたっスわ、明日もがんばろ」

「あ、いや、そうなんだけど、ちょっとまって、テスト勉強とか? 偵察の結果とかは?」

「うん、なんとかなるなる! オッケーっスわ」

「お、オッケー? 何が!?」


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp