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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第19章 夏合宿 ー2日目ー


2人で、私の部屋に戻ってきた。

「オレが布団敷くからちょっと待ってね」

普通の旅館とは違うので、合宿所では布団は自分たちで敷くことになっている。

「ありがとう……」

「話は、横になった状態でいいっスよ。眠くなったらそのまま寝ちゃえばいいし」

話……するつもりで来たけど、部屋に戻る途中からもう、怖くなってしまっていた。

女性経験のことを気にしてるなんて、黄瀬くんが嫌いな『束縛』の典型的なものじゃないの?

これ以上、嫌われる要素を増やしてどうするの。

「……黄瀬くん、話するって言ったけど……ごめんなさい……歩いたらやっぱり、ちょっと気分が悪くて……」

「そうなんスか!? 大丈夫? 言ってくれれば運んだのに……!」

本気で心配してくれている顔だ。

嘘は怖い。嘘を隠すためにまた嘘を吐く。
そして、自分の吐いた嘘でがんじがらめになって、動けなくなる。

「無理させてごめん、今日は寝て。また、明日にでもゆっくり話そう」

布団に横たわる。

「……ありがとう」

「氷のう、持って来た方が良さそうっスね」

「だ、大丈夫! 大丈夫だから!」

「そうっスか……?」

黄瀬くんは立ち上がり、部屋の照明を豆電球のみにした。

「ゆっくり休んで。まだ合宿2日目なんスから」

「ごめんね。黄瀬くんも、もう部屋に戻って……」

「うん、みわっちがちゃんと寝付いたのを確認したら、戻るっスよ」

「……」

眠らなきゃ。眠らなきゃ。
意識すればするほど、目が冴えてくる。

身体は疲れてるから、すぐにでも眠れるはずなのに。

黄瀬くんが、見てる。

「あ……こんなに近くにいたら気になって寝にくいっスかね。オレ、窓際んとこ座ってるから」

「あ、でも黄瀬くん、この部屋内鍵しかないから、私が寝ちゃったらカギ、掛けられなくなっちゃう……」

「げ、そうっスね」

「私もう凄く眠いから、すぐ寝れるよ。今日はお願い、もう戻って?」

「……わかったっス……なんかあったらすぐ呼ぶんスよ?
スマホ……部屋に戻ったらちょくちょくチェックするっスから!」

「うん、ごめんね。ありがとう」

「おやすみ、みわっち」



また、今日の失敗を繰り返さないよう、とにかく寝なきゃ。



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