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人間と妖と、

第4章 人と人ならざるもの、弐




「物の怪はね、凄く強い瘴気を持ってて、それが外に出ないように大きな石で封印してるんだっ」
「ふーん……でも、なんでそんなところに、狐優は住んでるの?」
「えー。だって狐優が、ここなら人は来ないって言ってたからっ」


微妙に答えになっていないような気もしたが、花音はなんとなく納得してしまう。


「でも……」


彩夏はまだ外を見つめたまま、どことなく不安な声になる。


「変なんだよね……」
「えっ、何が?」
「……何か嫌な事でも起こったのかな……」


普段の愛らしい彼女とは思えない、不安げな言葉に、花音も一緒に不安な気持ちになってしまう。


――どうしたんだろう……彩夏ちゃん……。
――狐優の様子がおかしいのも、その神邪洞っていうのと関係あるのかな……?
――力になれたらいいんだけど……。


他人の事を案じ、暗い顔になる花音。
それを察した彩夏が、慌てたようにパタパタと手を動かす。


「でも、封印はそう簡単に解かれないし、大丈夫だよっ」
「そう?」
「うんっ! だから一緒に遊ぼうよっ」
「そうだね。何しようか」


いつも通り、座敷童子と遊ぼうと床の方へ下りてきた花音だが、ふと外の方がいつもより騒がしい事に気付く。


「外に誰かいるのかな?」
「えっ、誰だろう……? でも、人間は狐優の張った結界があるから、入れないと思うんだけど……」
「ちょっと見てくるね」


花音はふわふわと宙を飛びながら、玄関の方へと向かっていく。
落ち着いた雰囲気の玄関前に行き、少しだけ動きを止める。


――えーっと……どうやってドアを開けようかな……。
――って、私幽霊だから通り抜けられるんだった!


ハッとその事に気づいて、スゥっとドアの向こうへと体を抜けさせる。


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