第5章 昔の事なんだ
昔のことだ、忘れるに限るさ。
俺はこんなくだらない過去に囚われている時間はないんだ。
今、俺はジョジョの部屋にいる。
ジョジョは俺がジョースター卿を殺そうとしていたことに気が付き、その証拠を掴むために出かけた。
…手紙が見つかったのも、何かの前兆なのか?これから、何か嫌なことが起きるに違いない。
そう思うと俺はあの石仮面を探しに来ていた。
「…これを使ってジョジョを殺せば」
完全犯罪が成り立つ、俺には容疑など微塵たりともかかってこない。ここでジョジョを始末しなければ俺の人生計画が台無しだ。
それと、あれからは現れなかった。音沙汰なしだ、町でも見かけなかった。
きっとこの世界のどこかで俺を殺そうと今も機会をうかがっているに違いない。そして俺の野心にも気が付いているだろう。血のつながった、姉さんなのだから。
「ディオさん、会わせてくれという女性がいますが」
「…今行く」
噂をすればなんとやら、…来たか。
今更怖気ずいたりはしない、直接会って話すのも面倒だが、ここは俺の邪魔に入られないように手を打っておくしかない。
「誰だ?」
「…私よ、ディオ」
フードを脱いだ女…は死んだ母さんにそっくりだった。母さんなのかと思って少し驚いた。
「今忙しいんだ、後にしてくれないか」
「いいえ、今しか時間はないわ」
するとズカズカ屋敷内に入り、まるで知っているかのように俺の部屋へと歩いて行った。
「おい」
「へえ、片付いているのね」
「何故俺の部屋がわかった」
「…あなたの姉なのよ、大体わかるわ」
何を根拠に、と思ったが、姉さんは昔からこういう奴だった。