第2章 私の名前は
酷いわ!と叫んだ私の声は果たして届いたのか否か。
私が駆け寄ったとき、もうエリナは絶望した顔で涙を流していた。
「エリナ、エリナ」
名前を呼べば泥だらけになったエリナは私に縋るように抱き付いてきた。
…酷い、酷すぎるわ。なぜエリナにこんなことをするの?ジョナサンが悪いのかもしれない、エリナとあんなに仲良くしているのだから。…いいえ、違うわ。
全てはあの日、ディオを殺さなかった私が悪い。
「大丈夫、エリナ。私が守ってあげるから」
「私は平気、だから、どこにもいかないで…ッ」
なんてかわいそうなの、ごめんなさいエリナ。私が悪かったんだわ。
「…もう泣かなくてもいいようにするから、笑って?」
エリナはありがとう、といって笑ってくれた。そうよエリナ。あなたは女神のように微笑んでくれればいいの。それだけれ私は救われるのだもの。
今までディオには内緒でこの町に住んでいたけれど、もう我慢ならない。幼馴染を傷つけた罪を一生背負っていくことになるようにしてやるんだから。
「?ど、どこへいくの?」
「エリナのパパを呼んでくるのよ、ちゃんと消毒しなくっちゃ」
そう言うとそうねとまた優しく微笑んでくれた。
エリナのパパを呼んでから、私はそのまま家に帰って身支度をしてジョースター家を訪れる。あの日殺し損ねたディオを殺しに行くの。
それでエリナは笑ってくれるわけはないわ、勿論物凄く叱られる。そんなのはわかっているけれど、私はディオを許せない。だからこの手で。
憎い、この金色に輝く髪の毛が。この身にに流れる血が。それを全て解き放つことができるのはあのディオを殺してからよ。
「…」
「なあに?」
「無理は、しちゃダメよ」
…なんてこと、エリナにはわかっているというの?
私は頷いてエリナの家に向かった。
お人好しなエリナ…今は自分の事だけを考えていて欲しいのに。私の事はいいの。