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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第8章 Sell my soul


——忘らるる都

 悲劇の夜が明けた朝。各々が気持ちの整理をつけて少しの休息を取ると再びその場所に集合する。
クラウド、ティファ、バレット、レッドXIII、シド、ケット・シー、ユフィ
そして最後に現れたヴィンセントの腕には女性が抱えられていた。
彼はふわりと彼女を降ろし、クラウドの元へ連れて行く。

「クラウド、紹介する……シャロンだ」
「あんたは……」
「ん……あなたは……」
「なんだ、知り合いか……?」

長い時が経っても、強い記憶は忘れないものだ。顔を合わせた瞬間に、二人の間で時間が止まった。

「セフィロスの彼女だろ」
「違うわ」
「彼女……?」

ヴィンセントが聞き返し再び動き出した時間が止まる。クラウドが訝しげにシャロンを一瞥する。
シャロンは今自分が場違いである事を確信したが、なんとか話のタネを探り会話を続ける。

「私の事、覚えていてくれたのね。ニブルヘイム以来だけど、ええと…ザックスは元気?」
「ザックスは……死んだよ」
「そう、だったの……。残念だわ……。あなたも、辛かったでしょうね……」

重い空気が流れる。こんな時代だから。久しい人の名前を出せばこうなることもある。シャロンがコスモキャニオンの酒屋で人と触れ合って学んできたことだったが、迂闊に地雷を踏んだシャロンは言葉を慎み、ただ祈ることしかできなかった。

「なぁ、あんた、セフィロスに何したんだ? あんたに出会ってからあいつは……おかしくなった」
「そうね……クラウドからしてみれば、そう思うわよね……」

 険悪な雰囲気に他のメンバーの空気も張り詰める。
そんな中、ヴィンセントが沈黙を破った。

「おい……彼女に原因があると言いたいのか? 冷静になれよ……」
「わかってる。でも今は、仲間を増やす気分じゃない……」
「エアリスの事だろう……。お前の辛さはわかるつもりだ……」
「お前にはわからない!」
「わかるさ……。私もかつて多くの仲間を失ってきた……」
「それじゃ足りないんだ……」

 あまりに急で衝撃的な別れにエアリスの存在の大きさを再認識したクラウドは、崩折れるように片膝をついて項垂れる。
その姿は、側から見ても痛々しい程だった。
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