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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第3章 いばらの涙


 青い液体で満たされたポッドの中で揺らめく長い髪。白い肌は透き通るように輝きを放つ。
彼女はNo.03。通称シャロン。シャロンで呼ぶ者のほうが多い。

 彼女は数年前、北の大地の海底で発見された。
氷のように冷たい棺の中で、美しい花と共に眠る神々しい姿に人々は感嘆したという。

 彼女が何者なのかは誰も知らない。古代種と言う者もいれば、モンスターだと言う者もいた。
その神秘的な姿を見て、海に祀られた女神であると言う者までいたという。
 それから観察が続けられたが、無害極まりない彼女は一先ず人間であるということで落ち着いた。
花の棺については、北の少数民族の儀式か何かで、彼女は生贄だったのではないかというような仮説が立てられ、それ以上の研究は行われなかった。

 影ではそれ以上の重大ニュースが科学部門を騒がせていたこともあり、このプロジェクトは着手される前に休止となった。
 だが、そこである一人の科学者がシャロンに目を付ける。古代種ではないにしろ、未知の民族とあらばある程度の研究成果が期待できると考えたからだ。

 シャロンの生活は人間界の常識とは少し違っていた。言葉数も少なく、データを集めることが困難だったので、科学者はまずその記憶を強制的に抜き出そうと様々な実験を行った。
記憶のデータ化を試みるが、その技術はまだ未完成で、シャロン本人の記憶を余分に奪った。
これではシャロン自身の謎は解けない。そうしているうち、ついに大掛かりな実験を施したのだ。

 注射器を身体に刺すと、その度シャロンの顔は苦痛に歪み実験に耐えられない様子で暴れ出す。
しかしそれも回を重ねる毎に耐性が付いていき、いよいよ脳に電気ショックを与えようという時、シャロンの肉体を花が覆った。
シャロンの体から出ているのか全く謎の不可思議現象だったが、異様なほどに増え続ける花に実験は中断を余儀なくされた。シャロンはやはりモンスターなのか。または何かに寄生されているのか。それともやはり、誰かの言った通り何かの神なのだろうか。
 ともかくこの世界ではそのような存在が現れても全くの不思議ではないし、シャロンがどのような存在であったとしても科学者の研究欲は高まるばかりなのであった。
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