第2章 目隠しの恋
春樹が精神科?と一生懸命考えて見たけどどうしても繋がらない。
この間会ったときも、LINEも電話での様子もいつも通りだった。
何か手掛かりになりそうなことはなかったかと、思考をぐるぐる巡らせていると店員がアボカドとサーモンの生春巻きを運んできた。
私の大好物だけれど、今はそれに箸を付ける気持ちになれなかった。
「山岸、大丈夫?」
心配そうにこちらへ身を乗り出してくる先生にハッとする。
そうだ、今は先生といるのだから春樹のことばかり考えていてはいけない。
「大丈夫…じゃないですけど今度本人にそれとなく聞いてみます」
気持ちを切り替えようと笑顔を作ろうとするが自分でも顔が引き攣っているのが分かった。
「ごめんね。やっぱり言うべきじゃなかったね」
「いえ、大丈夫ですよ。それより生春巻き食べましょう」
申し訳なさそうな先生に今度はちゃんと笑顔を浮かべて、私は皿に先生の分を取り分けてあげる。
もしかしたら誰かの付き添いで来てただけかもしれないし、今は深く考えるのはやめよう。