第1章 好きな人と、体を重ねる人
先生とはこれきりだと思っていたのに、送ってもらう車の中で番号とアドレスを書いた紙を渡された。
「秘密増やしちゃうけど」
「ここまできたら同じです」
変にどぎまぎしている私と違い先生は落ち着いた様子だった。
私は紙を受け取るとそれを素早く鞄の奥へしまい込んだ。
「あやが困ったときはいつでも俺に言ってくれたらいいから」
ベッドの中とは違い普段通り名字で呼ばれたことが少し寂しくて、声を出して返事をせず黙って頷く。
お互いの立場的に2度目は無いと思っていたのに、春樹と仲直りした後も先生と体を繋げてしまった。