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【ハイキュー!!】行け!烏野高校排球部

第9章 鴉の腹を肥やす









『​────どうして、バレー辞めたんだ?』








あの時もし影山さんが現れず、彼がそう問うていたら、私は何と答えていたのだろう。
口にしたくもない“忌まわしい過去”を、私は語れていたのだろうか。


気付けば主将とスガ先輩も到着していた。
思わず立ち止まっていた私を目に留めると、二人は笑顔でこちらへと手を振る。



その姿を見た瞬間、確信してしまう。
きっと私は一言も答えられず、有耶無耶にして誤魔化していただろう。もし話してしまえば、どうなるかは分かっている。



そこに居るだけで安心し、陽だまりに包まれているような温かい彼らの存在。それを失うような事は、臆病な私には出来なかった。






「お​ーい!!瀬戸​ーッ!!どうした〜?早く来いよ​──────ッ!!」






田中先輩の呼び掛ける声に、またハッする。私は「今行きます!」と答え、走り出す。





隠し通す腹積もりでいても、忘れてはならない。


今この平穏と立場は、彼らに卑怯な真似をして成り立っている物なのだと。











​─────歪で不格好なこの道に、私は縋って歩いて行く。


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