第13章 赤羽家
私が部屋から出るとカルマくんが立っていた。
「あ、赤羽くん。私そろそろ帰るね」
「…送ってく」
まだ『赤羽』呼びなのが気に食わないのか声は小さかった。
「あ、ありがとう…」
「いいよ、これぐらい普通だし」
「あ、あの…!」
私は思い切って声を出した。
「…なに?」
「周りに人がいると…恥ずかしいから…その…」
「…?」
私が何を言いたいのか分かっていないようで、首をかしげている。
「『カルマくん』呼びは…2人だけの時だけにしよ…?」
「っ!」
如何にも驚いたという顔をしてこっちを見ている。
そして顔が緩み、ニコリとした。
「望乃は照れ屋すぎんだよ」
そう言って私に抱きついた。
「…///」
私はカルマくんの肩に顔を疼くめた。
「おーい、お前達。イチャイチャするのは構わんがさっさと帰んなきゃいけないんじゃないのか?」
そう言われ振り向くと、勇さんが立っていた。
「っち、勇にぃって空気読めない人だっけ?」
「お前らが俺にすぐバレるようなとこでやってんのがいけない」
「かるにぃ、お馬鹿さんなの?」
いつの間にか部屋から出てきていた絢ちゃんがカルマくんを可哀想な目で見ている。
「…行くよ、望乃…///」
顔を赤くしてカルマくんは足早に玄関へと向かった。
「お邪魔しました~」
奥からは「またきてね~!」「またいつでもおいでよ~」という声が聞こえた。
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「ねぇ、望乃」
「なに?」
カルマくんはこの間送ってもらったところで足を止め、こちらに体を向けた。
「俺は望乃のこと『一生好きだ』なんて言えない。これからどうなるか分かんないから」
「うん」
「でも今俺は、望乃のことが好き」
まっすぐとこっちを見てそう言った。
「うん、私もカルマくんが好き」
「今から家に帰ったら望乃は苦しい思いをすると思う」
「・・・」
「だから辛くなったらいつでも話して」
そう言って渡されたのは紙きれだった。
そこには電話番号とメルアドが書いてあった。
「…うん」
私はそう言って家に帰った。